特別区経験者採用の受験を考え始めたものの、予備校選びに悩む人は多いと思います。
この記事を読んでいるあなたもその一人ではないでしょうか?
「特別区に転職したい…」
「経験者採用枠で受けてみようかな」
「でも自分に合った予備校が分からない…」
「皆が選んでいるオススメの予備校が知りたい!」
昨今では、多くの予備校情報がSNSやネット記事に氾濫し、どこを選んでいいのか悩んでしまう人も多いはずです。
しかし、特別区への転職を考えているのなら、予備校選びは極めて大切です。
経験者採用枠(社会人採用枠)は大学生らが受験する大卒程度枠に比べ倍率が非常に高いため、予備校での適切な指導なしでは合格を勝ち取るのは困難だと言えます。
そのため、予備校に通うことは必須だと言えますが、自分に合っていない予備校を選んで後悔する受験生も少なくありません。
信頼できる予備校を選び、効率的な学習を進めることが転職成功のカギです。
そこで今回は、長年公務員試験のプロ講師を勤めてきた私が、予備校選びの注意点を解説していきます。
この記事を読めば特別区転職を目指すあなたにピッタリの予備校が見つかるはずです。
一緒に最終合格を掴みましょう!
なお、下記の記事では特別区経験者採用の対策方法を解説しています。
特別区への転職を決めたい方は是非ご一読ください!
ランキング記事の注意点
まずはじめに、この記事も含めた「ランキング記事」を読む際には注意すべきことがあります。
それは、多くの場合、ランキング記事は広告収入を目的に書かれているという事実です。
おそらくこの記事を読んでいるあなたは、既にいくつかのランキング記事を読んできたはずです。
「元公務員が予備校3社をガチ比較」
「公務員予備校のおすすめ人気ランキング」
「予備校を徹底比較。あなたのおすすめはココ!」
それらの記事を思い返してみてください。
予備校の公式HP・コース紹介・講座説明会が、不自然なほど多く掲載されていませんでしたか?
一般の方にはあまり知られていませんが、実はあれは予備校が費用をかけて出しているインターネット広告なのです。
ごく簡単に説明すると、ああいったランキング記事に掲載されている公式HP・コース紹介・講座説明会のリンクがクリックされると、記事の執筆者に広告収入が発生する仕組みになっています。
それだけではなく、実際にコースの申し込みに至った場合には、コース料金の20~30%が広告収入になるケースもあります。
つまり、多くのランキング記事は執筆者が広告収入を得るために書いているのです。
そのため、記事の内容は予備校の評判や実力を反映していない可能性があります。
ランキング記事を読む際には、その点を注意する必要があるでしょう。
なお、本記事はそういった広告収入を目的としてはおりません。
その証拠として、以降紹介する予備校については公式HP・コース紹介・講座説明会のリンク等を記事内で掲載しないことといたします。
皆さんをどこかの予備校に誘導する意図は全くないので、どうかご安心ください。
予備校選びの6つのポイント
次に、予備校選びの6つのポイントを紹介します。
これらのポイントに注目するだけで、真っ当な予備校とそうでない予備校を見分けることができます。予備校選びで悩んでいる人は特に注目ですよ!
合格実績の公表
合格実績の公表は予備校選択における重要な基準です。
一般的に言って「〇〇名合格!」といった実績を示していない予備校は避けるべきでしょう。
実績を示していない場合、それは「実績がない」か「合格実績はあるが数が少ない」という可能性が非常に高いと言えます。
反対に、合格実績をしっかり公表している予備校は信頼できます。
選択する際は、このような予備校を選ぶことをお勧めします(残念ながら、公表しているのは後述するランキング1位の会社のみですが…)。
ただし、ここで最も注意すべきは合格実績のごまかしです。
典型的には「元特別区職員として〇〇名以上の受験生を指導し、多くの合格者を輩出」というパターンです。
「〇〇名以上の受験生を指導し」という部分を見ると、実績に感心するかもしれません。
しかし、よく読むと「〇〇名以上の受験生を指導し」とあるだけで、「特別区経験者採用の受験生を指導した」とは書かれていません。
また、「多くの合格者を輩出」というのも、「特別区経験者採用の合格者」に限定しておらず、具体的な合格者数も記されていません。
これを読んで「自分も誤解しかけた」「これは詐欺ではないか」と思う方もいるでしょう。
このように、実績をごまかす個人塾は数多く存在します(個人塾にもかかわらず「〇〇ヨビ」など予備校風を装っていることが多い)。
そのため、こういった個人塾に騙されないためにも、実績をしっかりと確認することが重要です。
複数講師の存在
試験対策を進める上で、予備校に複数の講師がいることは重要です。
理由としては、様々な視点から指導を受けることができるからですね。
例として、特別区経験者採用において重要となる論文と面接を考えてみましょう。
多くの自治体では、職員が受験生の論文を採点します。
この時、評価の偏りを避けるために、論文は通常複数の職員によって採点されます。
つまり、1人の職員に高評価を受けても、他の職員に低評価を受ければ全体の評価は上がりません。ですから、様々な視点から論文を評価してもらうことは、試験対策として必須だと言えます。
面接対策を考えた時には、様々な講師からの指導が特に必要です。
特別区経験者採用の面接では、3人の面接官がおり、それぞれが異なる視点を持っています。
したがって、1人の面接官に良い印象を与えても、他の2人からの評価が低ければ不合格のリスクが高くなります。
このような状況を避けるためには、様々な講師から幅広く指導を受けることが必要です。
これが、複数の講師が在籍しているかどうかが試験対策において重要となる理由です。
1人の講師しかいない個人塾では、指導が偏りやすいという問題があります。
もしその講師のアプローチが不適切だった場合、不合格となる可能性は急激に高まるでしょう。
「何年チャレンジしても合格できない」という受験生は個人塾を利用している事が多いのですが、こうなってしまうのは指導の偏りが原因だと推測されます。
このような状況を避けるためにも、複数の講師がいる予備校を選ぶべきです。
なお、講師が1人しかいないにもかかわらず、全く関係のない人物の写真をHPに掲載し、複数の講師がいるかのように装う個人塾も存在します(やはり「〇〇ヨビ」など予備校風を装っていることが多い)。
入会後に後悔しないためにも、申し込む前の段階で複数の講師がいるかどうかを確認しましょう。
リアルでの説明会開催
リアル(対面)で説明会を開催しているかどうかも重要な基準となります。
オンラインに比べ、リアルでの説明会開催には費用が掛かります。
ビルを借りている場合には固定費が掛かりますし、貸会議室を利用する場合でもレンタル料は発生します。
そのため、それらの費用を負担できる予備校にしかリアルでの説明会は開催できません。
言い換えれば、しっかりと生徒が集まっている「本気の」予備校だけが開催できるのです。
生徒が集まっていない個人塾はオンライン説明会ばかりを実施する傾向がありますが、これは「費用負担ができない=生徒が誰もいない」ことの証明だと言えるでしょう。
あとは、リアルでの説明会をやっても人が集まらないため、仮に参加者がいた場合に「えっ…私しか参加者いないの…?この塾ホントに大丈夫なの…?」と思われたくないという事情もあります。
このように、リアルでの説明会を開催していないところは絶対に避けるべきです。
予備校を選ぶ際には、リアルでの説明会にしっかりと参加し、対面で講師と触れ合ったうえで申し込むのがオススメですよ!
1年中割引キャンペーンを行っている
生徒が集まっていない個人塾は「1年中ずっと割引キャンペーンを行っている」傾向にあります。
皆さんも、
「通常価格より3.5万円引き!」
「5月末まで早割キャンペーン中」
「定価〇万円のところ5月末までのお申し込み限定で×万円」
などの文言を見たことがありませんか?
こういったキャンペーンを行う背景には、個人塾の大半は生徒が集まっていないため、割引するしかないという事情があるのです。
つまり「常に割引を行っている=生徒が集まっていない」という証ですから、皆さんも「えっ!割引?!」と釣られてはいけません。
生徒がいないということは「特別区経験者採用の情報を持っていない」可能性が高いため、むしろ警戒すべきでしょう(倒産してサービス提供がストップする恐れも…)。
そもそも、常に割引キャンペーンを実施するのは景品表示法違反です(詳細は「ネットでの不当な二重価格表示に気をつけましょう」をお読みください)。
なお、この件について某個人塾に問い合わせをしたところ、一切回答がありませんでした(法律に違反している自覚があるからかもしれません)。
法律違反をするような個人塾は、皆さんが入会した後も平気でウソを吐いたり、サービス内容を一方的に変更してくるかもしれません。
トラブルとなり消費者庁への相談に至ったケースも数多く聞きますので、絶対に注意しましょう。
経験者採用への特化
一口に公務員試験と言っても、試験の枠は大きく2つに分かれます。
具体的には、主に大学生が受験をする「大卒程度枠」と、皆さんのような社会人が受験をする「経験者採用枠」です。
どちらも公務員試験であることに変わりはありませんが、試験で重視されるポイントは大きく異なります。
端的に言うと、大卒程度枠では教養試験(数的処理・文章理解)や専門試験(政治学・経済学・法学)といった択一試験(マークシート形式)が重視されています。
それに対して、経験者採用枠では論文試験や面接試験が重視されるのが特徴です。
つまり、大卒程度枠と経験者採用枠では重視されるものが全く異なると言えます。
そのため、皆さんが予備校およびコースを選ぶ際に、誤って大卒程度枠に対応したものを選んでしまうと非効率な学習を進めることになってしまいます。
そうならないためにも、経験者採用枠に特化しているかどうかを慎重に見極める必要があります。
例えば、多くの予備校では「経験者対応!」「社会人採用も安心!」とコース説明に記述しつつも、大卒程度枠の講義を経験者採用枠の講義としてそのまま流用しています。
また、経験者採用枠では論文試験や面接試験が重視されるにもかかわらず、カリキュラムのほとんどが教養試験の講義になっている予備校も少なくありません。
勢いで申し込んでしまう前に、その予備校およびコースが経験者採用枠に特化しているかどうかをきちんと調べましょう。
特別区経験者採用専用コース
経験者採用枠に特化していることが分かれば安心していいのかというと、そうではありません。
次にチェックすべきポイントは「特別区経験者採用の専用コースがあるか」という点です。
経験者採用枠では論文試験と面接試験が重視されることは既に述べました。
しかし、その中でも特別区経験者採用は段違いに論文と面接が重視されます。
例えば、多くの県庁・市役所では1次試験の合否を教養試験のスコアか、あるいは教養試験と論文試験の評価の合算で決定します。
しかし、特別区経験者採用では、1次試験の合否は論文試験の評価のみで決定しています。
また、多くの組織では論文試験で書く論文は1本だけとなっていますが、特別区経験者採用では課題式論文と職務経験論文の2本の論文を書かなくてはいけません。
こういったことから、その他の組織よりも段違いに論文が重視されていると言えるでしょう。
さらに、1次試験を突破した後の面接試験も他の組織とは一味違います。
通常の県庁・市役所では面接試験の時間が15~20分程度となっていますが、特別区経験者採用では40~45分程度と約2~3倍もの長い時間が設定されています。
時間的なゆとりがあるため、面接官はじっくりと深掘りや追及をすることができます。
この面接に耐え抜くためには、通常の面接対策よりもはるかに綿密な準備が必要でしょう。
このような特徴から、特別区経験者採用に挑むためには、一般的な経験者採用枠の対策ではなく「特別区に特化した対策」が必要不可欠です。
そのため、申し込もうとしているコースが特別区経験者採用専用のコースかどうかは重要なチェックポイントだと言えるでしょう。
「経験者採用枠のコースならなんでも同じでしょ?」とテキトーなコースを選ぶと、必ず後悔することになります。
そうならないためにも、特別区経験者採用に特化した専用コースかを事前にきちんと調べましょう。
予備校ランキング
以降では特別区への転職を目指す皆さんに向けた、予備校ランキングを発表します!
ただし「ランキング」と言いつつも、取り上げているのは3社のみです。
理由としては、既に紹介した条件を部分的にでも満たしているのが3社のみだからです。
それでは、そういった事情を考慮しつつ、早速ランキングを発表しましょう!
3位 資格★合格クレアール
【コース名】
社会人経験者特別区型コース [冬・春生]
【価格】
18万円
※「オプション安心保証」付きの場合
【受講スタイル】
通信講座
【評価】
評価ポイントとしては「価格の低さ」が挙げられます。3社のうち最も価格が低いため、経済的に厳しいが予備校に通いたいという人にはオススメできるでしょう。
ただし、カリキュラムの内容には疑問があります。例えば、教養対策に重点を置きすぎているところです。公式HPのカリキュラム内容によると、論文対策の講義が6回、面接対策の講義が4回なのに対して、教養対策の講義が約100回となっています。
特別区経験者採用では教養試験の重要性が低いことを踏まえると、このカリキュラム編成は明らかに非効率だと感じます。何よりも、論文・面接対策の講義が10回だけというのは、特別区経験者採用への備えとしてぜい弱だと言わざるを得ません。
2位 公務員試験専門喜治塾
【コース名】
特別区経験者試験対策講座
【価格】
28万6千円
【受講スタイル】
教室講座か通信講座を選択可能
【評価】
古くから活動している小規模予備校として有名。長年にわたって講座を提供している点は評価に値するでしょう。また、教室講座と通信講座を選択可能な点も嬉しいところ。都内一等地である高田馬場に校舎を構えているので、教室講座に通いたい受験生にとってはアクセスしやすいのも魅力ですね。
しかし、ネット上の評判があまりにも悪い点が気になります。
以下はGoogleの口コミからの引用です。
ここで一度面接対策を受けましたが、情報もあまり持っていない印象を受けた上、きちんと考えて、親身になって受け答えしてくれるようなところではありませんでした。やる気が出るどころか、態度も他の口コミにあるとおりあまり良くなく、逆にモチベーションダウンしてしまうような塾です。しかも対応者は塾長でした・・・
Googleのクチコミより引用
一部の先生の教材はいいんですけど、とにかく塾長の態度が悪すぎて…びっくりです。小規模塾の良さがまるで無いです。何かにつけてそれなりのお金とられているので、儲かっているはずと思います。個別相談なら他の人でもいいはずなので、雇われるなり、それでなくとももうちょっと一線退くとか何とかなりませんかね?
Googleのクチコミより引用
オンラインで有償指導を受けたが準備が悪く話の内容もいいとはいえなかった。事前に資料を送っているにもかかわらず制限時間が始まってから資料を読み始め非常にイライラさせられた。もう受けない
Googleのクチコミより引用
これ以外にも、コースに含まれないオプションが非常に多く、追加でオプション料金を求められることが多いという声をよく聞きますね。また、模擬面接でも「ダメ出しを受けて終わった」など、指導内容に疑問を呈している人も少なくない印象。
長年活動をしていればそういった悪評も1つや2つは出るのでしょうが、その数がとても多いのが気掛かりです。
1位 社会人採用専門予備校Gravity
【コース名】
特別区合格講座(通学+Webコース )
【価格】
27万円
【受講スタイル】
通信講座
※各種イベントは対面でも実施
【評価】
日本で唯一の社会人採用専門予備校。大卒程度枠のサービスは提供せず、社会人採用に特化している点が魅力です。また、所属講師が全員元公務員というのもオンリーワンの特徴ですね。
さらに、メインの講師2人は最大手予備校TACでの指導経験があるとともに、特別区経験者採用の合格者でもあります。プロ講師兼合格者から実戦的な直接指導を受けられるのが最大の魅力でしょう。
特別区経験者採用の合格者数も日本最多(2023年は57名)であり、名実ともに「社会人採用で日本トップ」だと言われています。
ただし、少数精鋭で指導を行っているため、講座が定員制になっているところは気になります。大勢を受け入れてしまうと、指導のクオリティが低下してしまうからでしょう。
また、設立から日が浅いため、喜治塾ほどの「伝統」はありません。仕方のないことではありますが、人によっては気になるかもしれませんね。
おわりに
今回は特別区への転職を目指す社会人に向けて、予備校選びの注意点を紹介しました。
各社それぞれに特徴がありますが、最終的に一番大切なのは、自分に合っているかどうかです。
そして、パンフレットを読むだけでは自分に合っているかどうかはなかなか分かりません。
そのため、面倒に感じるかもしれませんが、各予備校のガイダンスやセミナーに出席して、講師やスタッフと直に触れ合ってみることが大切でしょう。
勢いだけで予備校を選んでしまうと、せっかくの受講料がムダになります。
特別区への転職を確実なものにするために、予備校選びは慎重に行いましょう。
この記事があなたの予備校選びの参考になったのならとても嬉しく思います。
最適な予備校を選び、ぜひ特別区職員としてのキャリアを手に入れてください!